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スポーツ情報 【連載4】 インタラクティブなインターネット
  Posted on Tue 06 Feb 2007 by kito (1872 reads)
村木征人(筑波大学),伊藤浩志(筑波大学大学院)

 トレーニング、コーチングやその他スポーツ科学に関する情報を持つホームページはWWW上に数多くありますが、それらは大きく2種類に分類できます。1つは図書や雑誌のように一方向的にトレーニング、コーチング、スポーツ医学などの情報をホームページ上に公開しているもの、もう1つは、インタラクティブに、利用者側で欲しいと思う情報やデータを利用者の要求に合わせて選択的に受け取ることができるというものです。

WWW=図書&雑誌?
 スポーツ科学に関する情報がホームページとして公開されている場合、図書や雑誌と同様に一方向的に情報を受け取るだけですから、インターネットを利用するという必要性はないと思うかもしれません。しかし、そう結論づけるのは早急過ぎるでしょう。インターネットの性格を考えればその理由はすぐに分かります。多様性と即時性がそのキーワードとなります。
 本の場合、例えば持久性トレーニングに関するものを手に入れたとしましょう。するとそこには当然のことながら、持久力といった内容のことしか書いてありません。その他の例えば、プライオメトリックスのことを知ろうとすれば、また新たに本を手に入れなければなりません。
 WWWの場合はどうでしょう。カナダのコーチ養成組織であるCAC(Coaching Association of Canada) のホームページ(図1)には「Towards Atlanta」と題されたカナダ自転車競技ナショナルチームのアトランタオリンピックに向けてのコンディショニング計画が公開されています。ここでは主にアトランタの高温、多湿という環境にどう対処していくかについて、食事やレース中の水分補給、クーリングという面からのアドバイスが書かれています。もしこの論文を読んでいる時に他の種目ではどうか、など関連した論文も知りたいと思った時には、他のホームページにアクセスすれば良いのです。



 そこで、トレーニングに関するホームページを検索したところ、いくつかのトレーニング関連情報を持つEndurance Training Journalのホームページ('http://s2.com/etj/index.html')が見つかり、早速、覗いてみると「Environment」という項目が掲載されており、より詳しい情報を得ることができました。このようにWWWではクリック一つで多様な情報を一つの媒体で手に入れることができるわけです。
 さらに、数カ月前に行われたオリンピックに向けてのトレーニングに関するアップデートな情報が日本ならまだしもカナダのものでも簡単に手に入るというのはインターネットを利用することによる即時性という利点の一つです。
 こうしたスポーツ科学に関する情報は個人のホームページでも載せている場合もありますが、競技関連団体やスポーツ関連の大学のホームページにアクセスすれば大抵、手に入れられます。当然、これらの情報はWWWを利用していますので、文字だけではなくカラフルな画像や動画などを伴っていますから、分厚い専門書をめくるより手軽に入り込むことが出来ると言えるかもしれません。


WWW=インタラクティブ
 インターネットはその名の通り相互に関係し合ったネットワークです。ですからWWWのメディアとしての利用を考えた時、インタラクティブに情報が得られることこそ、それを利用する本当の意味があるといえます。
 スポーツには関係ありませんが、ある映画の宣伝のためのホームページで主人公になってストーリーを進行させていくというものがありました。これはこちら側の選択によってストーリーが変化する、つまり得られる情報が変わるというまさにインタラクティブな情報提供です。WWWではこうした利用方法がいくつかなされてきています。今のところスポーツに関連するものでは最大限にこのインターネットの能力を使っているとはいえませんが、いくつか面白い試みはなされていますので、それらを紹介したいと思います。
 フローチャート形式の質問に答えていくことで性格判断などができるものをよく雑誌などで見かけると思います。これと同じように個人のデータをいくつか入力することで、栄養摂取状態の診断から適切な栄養摂取量を示してくれるもの( 'http://www2.umin.u-tokyo.ac.jp/eiyo/')や減量のための運動処方を動作や理論的な説明付きで示してくれるもの( 'http://www.rcss.kyoto-u.ac.jp/' )、健康度診断( 'http://www.health.co.jp/check/default.htm')ができるホームページなどがあります。これらは一般的な健康増進を目的として作られていますので、あくまで一般の人向けであり、そのまま競技者に適用することは出来ないかもしれませんが、ゲーム感覚での手軽さや、将来的な発展の可能性を考えると、こうした試みは興味深いと言えるでしょう。
 先に挙げたインタラクティブ型のホームページとは若干、性格が異なりますが、この他にも競技スポーツの指導やトレーニングに直接、役立つものがあります。
 インターネットの利用方法を説明したところでWWWの他にもいくつか例を紹介しましたが、その中に電子メールという利用形態がありました。電子メールとはインターネットを利用した郵便配達サービスの様なものですが、この電子メールとホームページを利用して利用者側とサービスを提供する側との間で対話型の情報を得られるものがあります。対話型といってもリアルタイムに結果が得られるわけではありませんが、自分が今、知りたいと思う内容に対して回答が得られるという面ではじめに挙げた掲示板的な情報よりも柔軟性があります。
 SOCCER NETのホームページ(図2)ではコーチングに関するいくつかのトピックが紹介されていますが、さらにSan Diego Sockersでヘッドコーチを努めるBrian Quinn氏にサッカーに関する質問の電子メールが出せるというサービスがあります。ここで交わされている質疑内容は技術や戦術に限ったものだけではなく、メンタルコンディショニングやチームマネージメントに関するも、少し変わったところではコーチになるためにはどうしたら良いか、アトランタオリンピックでのブラジルチームの戦い方についてどう思うか、といったものまで幅広く取り上げられています。
 ここには海外のホームページを例に出しましたが、こうした電子メールによる質問を受け付けているホームページは日本国内でも各種スポーツごとでいくつかあり、今後ますます増えていくと思います。




インターネット+スポーツ科学=∞
 現在、テレビ電話の様に映像をやり取りする技術を使うことでインターネット上でリアルタイムなコミュニケーションをとることができます。しかしながら、今のところ、スポーツ分野、トレーニングやコーチングの場面にこうしたものを利用したものは、ほとんどありません。映像のリアルタイム通信を利用した技術指導やトレーニングアドバイス、さらに動作解析やトレーニング・ノウハウのデータベース化そして、その再利用といったコンピュータが得意とする分野と組み合わせることで本当の意味でのインタラクティブなオンラインコーチングの可能性はまだまだ拡がるでしょうし、こうしたサービスは近い将来、インターネット上に必ず登場すると思います。


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